「孤独と不安のレッスン」




孤独と不安のレッスン 

最近わたし再び「図書館」をいうものを思い出した。
さいころ、母に連れられて市の大きな図書館に通っていた。母は、布製のサブバッグに貸し借りする本をパンパンに入れて図書館に通っていた。母の枕元にはいつもハードカバーの本が積み上げられていて、気づくといつも根っこ路がって本を読んでいた。わたしは図書館に行く度、「新しい本」がいっぱいで「どれを読もうか」とワクワクした。
限度冊数の10冊を越えないよう、図書館の中であーでもない、こーでもない、と厳選していた。

とそれは置いておいて。
引っ越してきた先の図書館をやっと調べて行き「ピン!」とあの独特にワクワク感が再燃。




ハードカバーでは珍しく軽く読めそうな本だったのが第三舞台の演出家・劇作家の自己啓発的な?この本。
「孤独と不安」というのは、実は私の考えている永遠のテーマだったりする。
この2つが揃っている文章を書いている人は、これに向きあって悶絶したことがあるということだと思う。

この本の記述はとても平易で分かりやすい。(たまに脱線していることもあるけれど)

・「本当の孤独」は「本当に自分がしたいこと」に導いてくれる
・気持ちより理解、愛情より情報
・「他人」はただ周りにいる人、「他者」はあなたに喜びと不安をくれる人
・コミュニケイションをあきらめなければ、他者との付き合い方は上達する
・体の限界を実感して「ありたい自分」を小さくする
・「何をしたらいいかわからない」状態は必ず来る
・深い呼吸で体の重心を下げる


などなど、「レッスン」のトピックもまとめてあり、ここを読むだけでもなんだか「ノンキ」になれるかも。


この「レッスン」は、作者が演出家という立場で数多くの人間と出会い、演じることの前段階でその人たちの本質とぶつからざるを得なかったから得られたものであると思う。そして「生きる・死ぬ」という根源的なテーマを直接作者に問いかけてくる者(特に若者)が多かったこともうかがわせる。



そうなんだよね、人はひとりでは生きていけないけれど、でもひとりで生きていかなくちゃ、いけない。
それが心からわかったとき、自分を成長させざるを得ない。成長させたい、と思う。


誰かと手をつなぐことは簡単だ。寄りかかることも簡単だ。
でもあえてその手を離して、自分ひとりで歩いていくことは難しい。

逆説的だけど、分かり合うことはできないから難しい。
人と人は分かり合えないものだ。ただ、分かり合おうと近づくことだけはできる。(ただそれを「分かり合えた」と錯覚してしまいがちだと思うけど)


そんなこんなひっくるめて、自分と、付随して何人かの他人と生きていく力があれば、それでもう、いいのかもね。