吉田修一にハマる〜『熱帯魚』『春、バーニーズで』





熱帯魚 (文春文庫)

熱帯魚 (文春文庫)

『春、バーニーズで』より断然良かった!

吉田修一が描く男性は「エリートか肉体労働者のどちらかが多い」という話を聞いていたけれど、3冊目にして「確かに」と。



私は特に、吉田修一が描く肉体労働者の男性が好きだ。「悪人」「東京湾景」「熱帯魚」の大輔。

共通項がある。彼らは感情を押し殺し淡々と生活しているけれど何かのきっかけで読者を裏切るように感情を爆発させる。「キレる」。
聡明なのではなく、汚すぎず、でも性的で肉感的。


鳶をしながら大人2人・子供1人を養う大輔をとても魅力的に感じ、もっと続きを読みたいと思った。



グリンピースを彼女に投げてしまう男は、レイプを受けそうになった女性と同じエレベータに乗り合わせても無視するとか「ありえねー!!」とかなり腹が立った(笑)。


一流サラリーマン(証券?)がひなびた民宿バイトする話。「大人の夏休み」として共感しながらもラストまでの説明がつかない感情の流れは見事だと思った。


ああ…久しぶりに読書に火がついたのは吉田修一さんのお陰だなぁ〜〜!



春、バーニーズで

春、バーニーズで



最後の息子」の続編だそうで
、まだ読んでいない私は早く「最後の息子」を読みたくなった。


新宿のバーニーズ。笹塚、調布、聖蹟桜ヶ丘京王線の景色。
東京湾景」での品川、お台場の描写と言い、吉田修一は東京の各地の描き方が駒買うとても立体的。

「住んでいたことあったのかな?」とか「昔の彼女がそのあたりにいたのかな?」などと思ってしまう。


バーニーズで再会したおかまの彼(彼女)への最後の言葉
「中途半端にしたくないんだ」の意味が分からなかった…。え?これで〆?っていうような。


んー・・・・この本自体が中途半端だなぁと思ってしまった。



吉田修一の本は本当に魅力的だなぁと再確認はしたのだけど。