『鬼畜』〜キレまくる岩下志麻、精悍な緒方拳




TSUTAYAの「100選100円」のひとつ『鬼畜』。

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こんなに古い映画を観たのは久々です。
松本清張原作って20年くらい前には背筋も凍りその斬新な展開に心震えた人も多かったんだと思うけど、若手作家の頭脳とセンスを駆使した猟奇的ストーリー花盛りの昨今では、彼の物語はかすんで見えてしまうのが何だか寂しい。それは広末・中谷美紀らが出演し大々的なPRを行った映画(題名なんだっけ)ものすごい期待外れだったときに思った。



松本清張の発想って素晴らしいんだけどね。「時代の流れ」というのをひしひしと感じてしまう。それでもなお現在でもドラマ化などリメイクされ続けるのはやっぱり魅力あるストーリーだからなんだろうなあ.


ええと、『鬼畜』は色んな人のレビューから「児童虐待が切ない」やら「自分がどうなるか知っている子供は怖い」など衝撃を受けた様と結構いい感触だったので期待。『鬼畜』っていう題名も極端すぎてすごいよね…。(確かにある意味鬼畜なんだが)




私の勝手な点数は…      20点

もっと悲惨な現実をニュースなどで目にしてしまっている現代の私たちには「うーん確かにひどいんだが…」で終わってしまう。この当時はかなり衝撃的な話だったんだろうけれども。これよりは是枝監督の『誰も知らない』のほうが断然怖くて残酷で鬼畜。


んー、でも、緒方拳の30代のときの精悍さを確認できること、岩下志麻が「極道の妻たち」以外に出演している珍しさ&やたらキンキン声でキレまくっている姿、若き日の蟹江敬三、20歳そこらの大竹しのぶ、やっぱり味のある小川真由美…などなど出演陣はかなり豪華である。そこらが見どころかな。


子役3人(特に兄・妹の2人)の棒読みがキツい。昔の子役ってセリフまわしが下手だったんだなー・・・っていうか子役の子たちがどんどんうまくなってるだけなのかなー。とにかく棒読みっぷりがひどいです(笑

そんな棒読みの長男がラストで『お父ちゃんじゃない!こんな人は知らない!』って言ってのけるのは唯一うまかった。そしてそれを聴いた緒方拳の表情が最高。このシーンは胸に迫るものがありました…。


昔の部屋、ファッション、新宿駅はこんなにレトロだったんだ〜と懐かしさに浸れる一作ではあります。