『あの日、欲望の大地で』@銀座




水曜日@1000円というお得な日に鑑賞。ネットで高い評価を受けていたこと&いつも気になる女優・シャーリーズ・セロン*1主演ということで観に行った。

『あの日、欲望の大地で』@銀座

この映画館の椅子が素晴らしく座りやすい! 座ると腕の部分がちょっと出っ張っていて体をつつみこむようになっている。最高! 初めて行ったけどこれからはここも贔屓の映画館にしよう。


しかし、隣に座ったおじさんの呼吸(っていうかため息)がうるさくて気になって残念。。映画館で呼吸が荒い人っているよね…病気とかではなく「はぁ…」「ふぅ〜〜」とかって。私も何度も出くわしたことがあります。そしてそういう人の隣だと映画に集中できない!!!! 特に55歳以上の男性の確率高し。今度から絶対に女性の脇に座ることにしよう。。。。


チェック:『21グラム』や『バベル』などの脚本家として知られるギジェルモ・アリアガが、監督として長編デビューを飾った壮大な愛の物語。愛を渇望する悲しい宿命を背負いながらも、一筋の光に導かれる3世代の女性たちの生き様を真摯(しんし)に描く。ミステリアスな主人公とその母親を演じるのは、シャーリーズ・セロンキム・ベイシンガー。このオスカー女優二人が肉体をさらけ出し、ひたむきに熱演する女性たちの魂の叫びやその悲しみに圧倒される。

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ストーリー:シルヴィア(シャーリーズ・セロン)は、ポートランドの海辺にたたずむ高級レストランのマネージャーとして働いている。仕事場では有能な彼女だが、プライベートでは行きずりの相手との情事を繰り返していた。そんなある日、彼女の前にカルロス(ホセ・マリア・ヤスピク)というメキシコ人男性と、12歳の少女マリア(テッサ・イア)が現れ……。



『21グラム』や『バベル』も時間軸が錯綜する独自の面白さがあった。病みつきになりそうなくらい観客としての私は翻弄される。それが面白かった。この作品は脚本家ギジェルモ・アリアガが監督、ということで2作に共通する「時間軸の混在」が繰り広げられる。

特に私などは予告やチラシを観ておらず予備知識もなかった。(結果的には見ないほうがいい。ほとんどネタバなレチラシだから)レストランのマネージャー(シャーリーズ・セロン)、不倫をする母親(キム・ベイシンガー)、その母親を憎む娘(ジェニファー・ローレンス)の3つの物語がパズルのように点在して展開する。

特に「1971年メキシコ」などの字幕も入らない。だから「これは誰のどの時代?」「どこ?」「どういう順序?」ということを探りながら観ていかねばならない。

私は途中でレストランのマネージャー(シャーリーズ・セロン)とその母親を憎む娘(ジェニファー・ローレンス)が同一人物であることが分かった。その理解する過程が自分のなかでとても楽しいのだ。脚本がうまいなーと。


キム・ベイシンガー*2は「泣き顔の中年美人」になっていて、その「枯れ具合」もとてもいい。「あれ? これ、キム・ベイシンガー?」と思ったのは以前見た何かの映画に彼女が出ていた記憶からか。キムは「泣き顔」だと思う。少なくともこの映画では。なぜか悲しそうな、すがるような顔つきをしている。この映画では罪悪感にさいなまれながら子供を愛しながらも不倫に走ってしまうオンナのサガを彼女が体現している。


そして同様の存在感を見せつけているのがやはりシャーリーズ姐さん! 

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ここでも脱ぎっぷりがお見事。最初のシーンから全裸(前からの胸のショットもあり)ですもの。まさか胸まで見せるとは思わなかった…。バックショットは足は長いけれどズン胴だし、胸は昨今のハリウッド女優の豊胸しましたシリコン胸を罵倒するかのような自然な垂れ具合のおっぱい。いいよ、あの年を経たおっぱい。



そうそう↓こんな感じ(シリコン入れてないと思うんだけど…)
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バッチリメイクではなく目の下のたるみも気になる肌を見せたシャーリーズ姐さん。疲れたその具合がこの映画のヒロインとしてはピッタリ。洋服もこれまでの彼女によく与えられたゴージャス&セクシーではなく、ダッフルコート&胸のあいたセミロングワンピ、(たぶん)HUNTERのロングブーツ、ボサめのひっつめ髪、ととてもシンプル。これが、いい! リアルだもの。

ついでにタバコ(赤マルボロかな?)もスパスパ。いいねーいいねー。やさぐれ具合が。

リアリティという観点で言うと、キム・ベイシンガー一家の生活や服装もリアルだと思った(私はアメリカの最近の庶民を知らないけど)。子供たちも特におシャレではなく、Kマートに庶民的バンを乗り付けて買い物をする。まあこれは15年以上前の設定だから今とはまた違うのだろうけど。最近のアメリカ映画はやたら庶民をデコラティブにして華やかに演出しすぎている。みんながベンツやワーゲン、アウディに乗っているわけないでしょ。みんながおしゃれなわけないでしょ、この映画ではそんな「普通の家庭」を観ることができてワクワクするのだ。


また、美人ではないけれどなぜか気になる女優ジェニファー・ローレンス」。母親に心を開かず、男性と恋に落ちていく触れ動く年代の女の子をとても自然に演じきっている。


その新人女優の名前は、ジェニファー・ローレンス。撮影当時17歳という彼女は、ギジェルモ・アリアガ監督曰くメリル・ストリープの再来かと思った」「オーディション初日で彼女に決めた」という逸材

と読んでさらに彼女を見直した。なぜか「大地の香り」を感じる女の子だ。これから、監督の言うとおり大女優に化けるか…みていきたいなぁと思った。

アメリカ映画にしては、繊細で乾いた作りに万歳! また、それぞれの個性と演技力をいかんなく発揮した素晴らしき3人の女優に! 

映画で見るメキシコ(行ったことはない)っていつも「乾いた感じ」でとても郷愁を感じるんだよなぁ…。ここでもメキシコロケがされていて砂漠まではいかない乾いた土地がとてもいい味を出している。


ただ、映画全体としてはラストが「もっと味付けしてよー」てなあっさり具合だったのが残念なので    80点


シャーリーズ・セロンキム・ベイシンガージェニファー・ローレンス/ジョン・コーベット/ヨアキム・デ・アルメイダ /ダニー・ピノ/ホセ・マリア・ヤスピク/J・D・パルド/ブレット・カレン/テッサ・イア


*1:「モンスター」の役作りとその気概が最高

*2:年とったなーと思ったけどそれでもフェイスリフトしてるのかな? ちと不自然に頬のあたりが突っ張ってる