傑作『危険な関係』をリメイク/斬新かつスリリングなセクシュアル・ラブストーリー『クルーエル・インテンションズ(’99米)』




『クルーエル・インテンションズ('99米)』
テレビ東京 [13:30〜15:30]→テレビで観賞

◆オフィシャルサイト

                     クルーエル・インテンションズ [DVD]


原作はラクロの「危険な関係」。義理の姉弟が恋愛を操るゲームを開始する…
(Youtube予告編) http://www.youtube.com/watch?v=538iMqi9S8g
(Wikipedia) http://tinyurl.com/l7xels



50点→原作を読んでさらにフルで観ていたら多分 70点

テレ東で放映していて最後の40分くらいのみ観ただけですが。。。最初は「低予算で無名の役者を使った軽い学園ドラマかな」と期待していなかったのだけれど…これが!意外におもしろかった! 原作は20年以上前に出版されたラクロの「危険な関係」という話題になった「好色本」らしい。(→下記)、そしてフランス、イギリスなど含め4回もリメイクされているらしい。私が観たのは「最新リメイク版」に当たる4回目('99 アメリカ)のもの。






◆イントロダクション

マンハッタンの豪壮なタウンハウスに住むキャスリンセバスチャン。血のつながらない姉弟であるふたりは、ともに名門進学校の生徒だ。この若さでふたりは金にも贅沢にも飽きるほど浸り、欲望のおもむくままに生き、色恋の裏表にも通じている。今やときめくのは、他人に仕掛ける恋の陰謀と、互いの恋の駆け引きだけ・・・。

スキャンダラスな名作『危険な関係』4度目の映画化の主人公は、何とティーンエイジャーだ。頽廃的な中年貴族の世界をそのまま現代の若者たちのあいだによみがえらせて、不思議に説得力があるのは、時代そのものもまた主役だからだろうか。微妙な感情表現、心理の綾を紡ぎだすようなせりふの応酬に挑むのは、まさしく今全米で大ブレイク中のティーン・アイドルたち。ヒット作『ラストサマー』で鮮烈な印象を残したサラ・ミッシェル・ゲラーライアン・フィリップが、それぞれメルトュイユ侯爵夫人ならぬキャスリン・メルトュイユ、バルモン子爵ならぬセバスチャン・バルモンに扮して、現代のニューヨークを舞台に、奸智に長けた罠を張りめぐらし、誘惑し、裏切り、裏切られ、傷つけ、傷ついていく・・・幼さと官能が入り交じったような雰囲気のある、斬新かつスリリングなセクシュアル・ラブストーリーだ。

ふたりの賭けの対象にされる清純なアネットに扮するのは、『カラー・オブ・ハート』などで一躍、注目株となっているリース・ウィザースプーン。セバスチャンにセックスの手ほどきを受けるセシルには、大器を感じさせる新人、セルマ・ブレアが扮し、残酷なドラマに笑いを注入している。こうした若い人たちを、ルイズ・フレッチャー、スウージー・カーツ、クリスティン・バランスキーといったベテラン女優陣が支える。

金に糸目をつけない上流ティーンエイジャーたちの衣装もまた、画面に色どりを添えている。(確かに…キャスリンの衣装なんて本当にため息が出るような。>opiumn)あくまでも細身のキャスリンやセバスチャンが、まるでモデルのように最新のファッションを身にまとって登場する。メールが行き交うこの時代に、書簡体というスタイルをとった原作に忠実に、手紙が鍵となり、日記が決め手となる。「メールなど、お宅とガキのやるものだよ」とセバスチャンは言ってのけるが、それがまた妙におしゃれなのだ。

監督のロジャー・カンブルは、原作の熱心なファンであり、若い観客のために翻案できると確信して脚本を書いた。これまでにも『ジム・キャリーはMr.ダマー』などで脚本家として映画に関わってきたが、監督はこれが初めて。若者向け映画の復活をめざす『ラストサマー』『ラストサマー2』のプロデューサー、ニール・H.モリッツはただちにこの企画に惹かれ、監督もカンブルに依頼した。


◆「危険な関係」、最も若いキャストで4度目の映画化

1782年に出版されるや、好色本として物議をかもしたラクロの『危険な関係』。映画作家のイメージをくすぐる素材であり、これまでに3度、映画化されてきた。最初は1959年、本国フランスのロジェ・ヴァディム監督が、ジェラール・フィリップジャンヌ・モローを主役に現代劇として映画化した。その後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが舞台化。1988年、この戯曲を書いたクリストファー・ハンプトンが脚本を手がけて、イギリスのスティーブン・フリアーズ監督が2度目の映画化。グレン・クローズジョン・マルコビッチ、ミッシェル・ファイファー、ウマ・サーマン、キアヌ・リーブズらを配したこの作品は、3部門でアカデミー賞に輝いた。次は1989年、ミロシュ・フォアマン監督、コリン・ファースアネット・ベニング、メグ・ティリー主演による『恋の掟』。4度目の本作『クルーエル・インテンションズ』は、舞台は現代のニューヨーク、残酷な恋の操り人である主人公はティーンエイジャー、とラクロもびっくりの、それでいて妙にうなづける設定である。




4度目の本作『クルーエル・インテンションズ』は、舞台は現代のニューヨーク、残酷な恋の操り人である主人公はティーンエイジャー、とラクロもびっくりの、それでいて妙にうなづける設定である。ってことは、設定が原作とかなり違うってことね…。


セバスチャン役(ライアン・フィリップf:id:opiumn:20090903160453j:image
キャスリン役(サラ・ミッシェル・ゲラー)f:id:opiumn:20090903160452j:image
アネット役(リース・ウィザースプーンf:id:opiumn:20090903160451j:image
(ライアンとリースはこの映画がきっかけで結婚したらしい☆)


原作を読んでから(あらすじでいいか。。)改めて1〜4つの映像を観てみたいなー。
と思ってあらすじを調べたのが以下。


原作『危険な関係』(ラクロ)

   危険な関係〈上〉 (岩波文庫)

●あらすじ
メルトイユ侯爵夫人は、自分を裏切った愛人が15歳の清純な少女セシルと婚約した事を聞く。愛人への復讐の為に、以前から関係のあるヴァルモン子爵にセシルを誘惑して堕落させるように依頼。だがヴァルモンは貞節と評判の高いツールヴェル法院長夫人を誘惑し堕とすことに興味を持っており、メルトイユの依頼をいったんは断る。

しかしセシルの母ヴォランジュ夫人がツールヴェル法院長夫人に、ヴァルモンの事を非難し近づいてはならないと忠告したと聞き、ヴォランジュ夫人への復讐のために、ヴァルモンはメルトイユの依頼を受ける。

メルトイユ侯爵夫人とヴァルモン子爵、二人が仕掛ける退廃に満ちた恋愛ゲームが始まる…。


●革命前夜のパリ。メルトイユ侯爵夫人はかつて自分を裏切ったジェルクール伯爵への復讐のため、伯爵の縁談相手セシルを誘惑するよう情人ヴァルモン子爵をそそのかす。上流社交界に渦巻く悪徳と頽廃を描いたラクロのこの小説を、当時世人は作中人物が実物に似すぎていると眉をひそめつつ、しかし熱狂的に愛読したという。

●『危険な関係』は、18世紀フランスで軍人として活躍したラクロが残した、唯一の小説である。ラクロは、レチフ・ド・ラ・ブルトンヌやマルキ・ド・サドなどと並んで、近年見直されてきている作家だそうであるが、その名を不朽ならしめた一編の小説『危険な関係』は、スタンダールにも大きな影響を与えたとされているように、才気あふれる若い男が美しい女性を誘惑していく手管を描写した、恋愛心理小説の傑作となっている。



うわーー! 原作は現代リメイク版『クルーエル・インテンションズ』と全然違う!
原作は「書簡体小説」だし(これは「手紙」を使うという手段としてクルーエルでも残されているが)。現代版では「義理の姉と弟」のキャスリンとセバスチャンが、原作では「セバスチャンはそもそもキャスリンの愛人」として設定されている。「義理の姉と弟」という設定…監督(脚本も担当!)も、考えたなー。うまいなーーー。



ちなみに原作の登場人物と『クルーエル〜』での登場人物名比較。


メルトイユ侯爵夫人=キャスリン・メルトュイユ
ヴァルモン子爵=セバスチャン・バルモン
ツールヴェル法院長夫人=アネット
セシルセシル(そのまま)