わたしという




新卒で就職活動をしているとき私には
二種類のスーツがあった。




一つは、グレーのスカートスーツ、いわゆるリクルートスーツ。


もう一つは、かなり細身なピンストライプのパンツスーツ。

前者は「新卒の制服」だと思い、保守的な会社に着用。
入社後は恐らく一回も着ないであろうし
とても嫌だった。




第一希望の企業の最終面接、「もういいや」と
思い、開き直りの現れかのごとく後者に袖を通した。




最後の質問。

「(みんなリクルートスーツなのに君は)どうしてパンツスーツなの?」


と聞かれ私は
とっさに正直に答えてしまった。

「帰りにお店に寄りたいからです」

「どういうこと?」
リクルートスーツだと恥ずかしくてお店に
入りづらいんですよね〜」

「(笑)。…はい、もういいです」




…落ちた、と思った。


今までの準備と熱論は何だったの〜?

一瞬にして無駄になっちまった〜い!






けっきょく受かり、それから6年半そこで働くことになった。
(今は辞めましたけれど)



10月に入り頻繁に、見るからに「新入社員」という若者を
団体で見かけ、ふとそんなことを思い出した。


同じようなリクルートスーツに、カバンに靴。
ファッション系業界でない限り、それが制服なのには
変わりがないんだなと。



今日、転職会社で模擬面接があって
久々にスーツを着た。





シェイプされたジャケットに、七分丈のワイドパンツで
スーツとも言えないかも。


面接官役は「マネージャー」である30代半ばの女性。

語り口は柔らかいけれども論理的で
「これこそキャリア組なんだろうな」と。


論理的に話せない私は、詰まりながらも
なんとか話した。



「分かりやすい」「根拠に基づいている」と
ほめられたけど、

「買いかぶりだよぅ…」「しっかりして見えるのかなあ」
と【自分のプレゼンをする私】を
遠くにも感じた。



その方と改善点や対策を話しメモを取り
戦略を寝る私は
たぶん「男性的」な私だ。


そのまま突き進むと、前の激務だった総合職の
ときのような生活が待っているのだろうか。

もっとマシで、素敵なものだろうか。

私が生き生きできるだろうか。



そんなことを暗い帰り道をヒール鳴らして考えながら、
歩いた。



そういえば
夕方まで感じていたストレスが少し
軽くなったような気がする。

ーなんでかしら。

今の
体制の見えない職場、指示系統が不明確で…
と上げるのは…やめよ。



私はもっと、主張したいのかな。

話したいのかな。


どうだろ。





私も「制服」を着ていた頃があって、何かを信じていた。


それから
あきらめることも捨てることも必要だと学んだ。
(決してネガティヴな意味ではなくて)


柔らかい部分と
堅い部分


両方を
身につけると
生きていくのが
もっと好きになる。
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