トラットリアの厨房は戦争だ〜『ディナーラッシュ』




           ディナーラッシュ スペシャル・エディション [DVD]


ニューヨークにあるイタリア料理レストラン「ジジーノ」を舞台に繰り広げられる一風変わった群像劇で、監督はボブ・ジラルディ。日本では2002年度ミニシアター興行の大ヒットを記録した作品。
ひそかに賭けの胴元を務めている「ジジーノ」のオーナー、ルイ(ダニー・アイエロ)の相棒が殺される事件が起きた後の、ある一晩の物語である。ルイの息子でもある野心的シェフ長のウードは、店をトレンドなレストランに変えてしまい、父親と対立。そのウードにはアシスタントのシェフ、ダンカンという仕事と恋のライバルがいるが、彼は無類のギャンブル好きで借金の山に追われている。そんな個性豊かな面々が集結し、今夜も繁盛する店に、クィーンズ地区で幅をきかせるギャングのブラック&ブルーが乗り込んできた…。



★☆☆☆☆

料理系の映画って好きなんだよなぁー。『ショコラ』は最高にチョコレートがおいしそうだし(観終わってすぐチョコレートを買いに走った)とかとか。その流れを期待して借りた『ディナーラッシュ』。しかしお料理の鮮やかさだけじゃ満足しませんよ、サスペンスの要素もあるからこそ観ようと思ったのです。

…が。サスペンスというか「どんでん返し」は展開が甘くてイマイチ。「どんでん返し」にもなっていないラストがもったいないー! もっとおもしろく設定できたはず。

トラットリアのスタッフも、画家志望の気の強い女性、唇ピアスの情緒不安定な女の子、ゲイのマネージャー、中国系のウェイトレス女性…などなど個性を持たせようとしてるのは分かるんだけど、中途半端。「この人たち、必要?」で終わってしまっている気が。もーーっとキャラクターたちを個性的に、魅力的にみせることはできたはずなのにな。そしてそれができていれば味わい深い作品にもなっていたろうに。

キャスティングとして一部評価できるのは、主人公のシェフ・ウード役のエドアルド・バレリーニ
    f:id:opiumn:20100207155532p:image
「甘さたっぷりのかっこよさ」!!! そう、この人「甘い」んです。かっこええええええー!って思ってしまいました。「可愛い」もあてはまるかな。


そして中国系というのがこの映画を引き締めている気がする、ヴィヴィアン・ウー
        f:id:opiumn:20100207155531j:image
中国系の方は「目が細くて、いかにもチャイニーズ」って人がある程度名をあげていますが。この人はそういう微妙さだけではないエロスがわきたっている女性のような感じで、魅力的にうつりました。作中での真っ赤なネイルと真っ赤な口紅が似合う。(しかしハリウッド映画に出演するアジア女性はよくこの深紅のネイル&口紅を塗るなーと思ったり。アジア女性に似合うんですかね、適度にゴージャスになって)調べたらこの人ハリウッドで結構評価されている人なのねぇ。



やたら態度のデカイ料理批評家を演じる料理批評家として出てくるサンドラ・バーンハート。つぶれてるお顔…という印象が強いんだけどどの映画で観たんだろう?


んで、この映画で肝心のイタリア料理ですが。確かにおいしそう。厨房は戦場のような忙しさ。1皿に盛られる分量が多いのも気取った店ではなく「トラットリア」な感じがして◎。でももっと色調を鮮やかにできていればもーーっとおいしそうなのに! いずれにせよイタリアンが食べたくなりました。


でもやっぱりこの映画を観ても何も残らなかったので、★☆☆☆☆。残念…