「ぐるりのこと。」




「ぐるりのこと。」
絶賛している方が多いので気が引けるけど・・・私の正直な感想は、「もっと深く描けたのでは」という落胆でした。
リリーさんの「普段どおり」を思わせるような話し方とか、会話はすんごくイイ。…のだけど、妻がウツになっていく過程やその苦しさのエピソードが弱いために、胸に迫ってくるものが薄くて。私には。
ちょっと残念なまま終わったのでした。


そういえばたまに、「感動不感症」になっているのかと心配になる。昔なら「感動」できたレベルがどんどん上がっていて、ちょっとやそっとのことでは感動しない、となっているかもしれない。でもそれは仕方ないことで。


人間なら経験を重ねて見えるものも、感じるものも変わってくる。だからこれはそのときの自分が感じた正直な気持ちであり「それが分からないからダメ」という言い方は良くないなと思うのです。それを観たときの自分のテンション、気持ち、感じ方がたまたまそうだったのであって、もしかしたら違うときに観ていれば「満点!」とか言ったりするのかもしれない。


でも私が捜し求めているのは「自分のそのときの状況」に左右されず、いつ観ても「良かった!」と言える様な映画だ。今迄で言うとそれに近いのをあげるとすると、「バグダッドカフェ」「おばあちゃんの家」「28日後…」「時計じかけのオレンジ「誰も知らない」ナイロビの蜂」、かなあと。