昔の彼?〜「普通」でなくても幸せ






これの続き。長いなぁー(笑)




お付き合いすることになって、結局、それから数年続いた。

す…数年! なかなか長い。


大学生のときを始まりに、
社会人になり私が上京しても、続いていた。


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彼と過ごした時間は、とーっても、とーっても、長かった。



初めは「先輩」だし敬語で話し、苗字で呼んでいたのが
だんだんタメ語になり、名前で呼ぶようになり……


ぎこちなかったけれど、

〜春〜夏〜秋……


いくつもの季節を一緒に過ごしていくうちに、
だんだん強い絆で結ばれていった(と思う)。


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彼のことについて話そう。


彼は、1歳のときに両親が離婚し、父・姉・彼の3人で
暮らしてきた。

そして大学進学で、一人暮らしを始めた。



彼の生活から察するに、実家は金銭的に大変厳しい
状況だった。



彼は授業料を奨学金でまかない(最終的には全額自分で払った)
実家からの仕送りはほぼ「0円」。





バラックのようなアパートの家賃は、確か10,000円。
激安です。

お風呂・トイレが共同で、公衆電話がその廊下にあった。


(私が彼のウチに泊まるときは、誰にもバレないように
ソーっとお風呂に行き、脱衣所もないレトロなお風呂に
入り…

またお風呂から出るときは、誰もいないのを確認してから
駆け足で彼の部屋に戻ったものだった。)



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そんな彼は理系で忙しいにも関わらず、アルバイトを
するしかなかった。

レンタルビデオ屋さんでのアルバイト。

…だからそんなにお金になるわけではない。



何も買わなくても、
4〜5万円(たぶん)のバイト代のほとんどが、生活費に
消えていった。



「今月は食費を5000円以下に抑える!」 と、できるだけ
自炊をしていた。


お米がなくなって買えない時もあった。



私はそれを聞いて、何度かリュックにお米や野菜を
いっぱい詰め込んで、彼のところに行った。


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そういう状況なので、
「一般的な大学生のデート」というものは
ほとんどしなかったように思う。


ドライブ、映画、買い物、外食、観光…?とか
そういうもの。


ひたすら部屋にこもって遊んでたり、御飯作ったり、
散歩したり、、、、、、、、、




でもそれは責められない。
仕方がないから。


ギリギリまで切り詰めてマジメに生活していても、
本当にないのだから。


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とにかく、私は、彼と一緒に過ごすのが
楽しかった。

贅沢なことをしなくても、しあわせだった。


お金があるとかないとか、そんなことは関係なかった。



一緒にモヤシ(安いもんね)で何品作れるか考えたり、
古着屋めぐりをしたり(買わなくても)、
日なたぼっこをしながら並んでうたた寝したり。


そんな一つ一つが、私たちらしいし、
好きだった。




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私は彼に対してすごいな、と思ったことがある。


それは、
仕送りを送らない(送れない?)父親へのグチを
1回も言わないことだった



「普通の大学生」と比較して自分を卑下することが
なかったことだ
(思ってても言わなかったのだろう)。


そして。
誰かにお金を借りようともしなかったことだ。

私にすらも。



彼にもプライドがある。

それを踏みにじらないようにしたかった。


だから私は自分から
「お金、いくらか貸そうか?」と言う言葉を発するのは
ギリギリまで避けた。



違うふうに、彼と居ればいい。

例えば彼が

「どこか行きたいと思っても、今、電車賃ないわ…」と言うならば
「お散歩とかしてるだけで楽しいやん!」。



たまには外食したいと思っても
「今日は○○○を作ろう!」。


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毎月実家から十分な仕送りを送ってもらい、家賃や
生活費を引いても、余る私……



彼の姿を見て、自分が情けなくなった。
何か助けたかった。


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いちど彼に

「お前は、ご両親にもっと感謝しなきゃダメだよ。
だって毎月毎月、お金を送ってくれるんだよ?」


と言われ、
心にドスーンときた。


そう、当たり前ではないのだ。