昔の彼?〜「普通」でなくても幸せ
これの続き。長いなぁー(笑)
お付き合いすることになって、結局、それから数年続いた。
す…数年! なかなか長い。
大学生のときを始まりに、
社会人になり私が上京しても、続いていた。
===========================================
彼と過ごした時間は、とーっても、とーっても、長かった。
初めは「先輩」だし敬語で話し、苗字で呼んでいたのが
だんだんタメ語になり、名前で呼ぶようになり……
ぎこちなかったけれど、
冬〜春〜夏〜秋……
いくつもの季節を一緒に過ごしていくうちに、
だんだん強い絆で結ばれていった(と思う)。
============================================
彼のことについて話そう。
彼は、1歳のときに両親が離婚し、父・姉・彼の3人で
暮らしてきた。
そして大学進学で、一人暮らしを始めた。
彼の生活から察するに、実家は金銭的に大変厳しい
状況だった。
彼は授業料を奨学金でまかない(最終的には全額自分で払った)
実家からの仕送りはほぼ「0円」。
バラックのようなアパートの家賃は、確か10,000円。
激安です。
お風呂・トイレが共同で、公衆電話がその廊下にあった。
(私が彼のウチに泊まるときは、誰にもバレないように
ソーっとお風呂に行き、脱衣所もないレトロなお風呂に
入り…
またお風呂から出るときは、誰もいないのを確認してから
駆け足で彼の部屋に戻ったものだった。)
==========================================
そんな彼は理系で忙しいにも関わらず、アルバイトを
するしかなかった。
レンタルビデオ屋さんでのアルバイト。
…だからそんなにお金になるわけではない。
何も買わなくても、
4〜5万円(たぶん)のバイト代のほとんどが、生活費に
消えていった。
「今月は食費を5000円以下に抑える!」 と、できるだけ
自炊をしていた。
お米がなくなって買えない時もあった。
私はそれを聞いて、何度かリュックにお米や野菜を
いっぱい詰め込んで、彼のところに行った。
===================================
そういう状況なので、
「一般的な大学生のデート」というものは
ほとんどしなかったように思う。
ドライブ、映画、買い物、外食、観光…?とか
そういうもの。
ひたすら部屋にこもって遊んでたり、御飯作ったり、
散歩したり、、、、、、、、、
でもそれは責められない。
仕方がないから。
ギリギリまで切り詰めてマジメに生活していても、
本当にないのだから。
・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*・:*:・:*:
とにかく、私は、彼と一緒に過ごすのが
楽しかった。
贅沢なことをしなくても、しあわせだった。
お金があるとかないとか、そんなことは関係なかった。
一緒にモヤシ(安いもんね)で何品作れるか考えたり、
古着屋めぐりをしたり(買わなくても)、
日なたぼっこをしながら並んでうたた寝したり。
そんな一つ一つが、私たちらしいし、
好きだった。
・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:
私は彼に対してすごいな、と思ったことがある。
それは、
仕送りを送らない(送れない?)父親へのグチを
1回も言わないことだった。
「普通の大学生」と比較して自分を卑下することが
なかったことだ(思ってても言わなかったのだろう)。
そして。
誰かにお金を借りようともしなかったことだ。
私にすらも。
彼にもプライドがある。
それを踏みにじらないようにしたかった。
だから私は自分から
「お金、いくらか貸そうか?」と言う言葉を発するのは
ギリギリまで避けた。
違うふうに、彼と居ればいい。
例えば彼が
「どこか行きたいと思っても、今、電車賃ないわ…」と言うならば
「お散歩とかしてるだけで楽しいやん!」。
たまには外食したいと思っても
「今日は○○○を作ろう!」。
・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*:・:*::
毎月実家から十分な仕送りを送ってもらい、家賃や
生活費を引いても、余る私……
彼の姿を見て、自分が情けなくなった。
何か助けたかった。
=======================================
いちど彼に
「お前は、ご両親にもっと感謝しなきゃダメだよ。
だって毎月毎月、お金を送ってくれるんだよ?」
と言われ、
心にドスーンときた。
そう、当たり前ではないのだ。