沿線の80代マダム




今日、東急東横店のエレベーターに乗ったら、白髪でツエをついた80代のマダムがおられた。
マダムはとてもオシャレだなと思った。夏らしい白いお洋服にスカート。とても穏やかな空気が流れていた。
左手の薬指に金の指輪をしておられた。


私がそのマダムを見たのは、ほんの2.3分くらい。


私は色々想像した。


渋谷の街なかには、日焼けしてお腹出した若い子とか、ライオンみたいな小汚い(ごめんよ)ホスト崩れの男の子とか
そんな人が闊歩してる。
こういうご老人は、めったに見ない。あの「波」に入れないのかもしれない。


東急沿線に住んでいる高齢のマダム(で自宅に外商とか呼ばない人たち)は、きっと、東急百貨店で全てを済ますんだ。


foodshowでお野菜を買ったり、出来合いのものを買ったり。上の階で馴染みの定員さんとお帽子を選んだり。
日傘を買ったりね。ツエをついて、腰を曲げて、ゆっくり、ゆっくり歩いて。私たちの何倍もの時間をかけて。


一緒に居た人が「きっと、僕らとは違うゆっくりした時間が流れてるんだね」って、言った。
私はとても温かい言葉だと思った。


私たちは常にセカセカしてる。1分でも早い電車に乗りたい・早く目的地までたどり着きたい・クリックしてクリックして…。
早くすばやくできることに慣れてしまってる。

でも、ご老人には「ゆーーったり」した時間が流れてるんだろうな。それぞれの。
しかも、そういった方々は「お気の毒」ではないのかもしれないね。


うん、かわいそうに、とかおつらそうに、ではなく、彼女らなりに、ゆっくりと、心地いい時間が流れてる(人もいるし、でない人もいると思う)。

私は(以下想像)そのマダムに付き添ってお買い物でもしてあげよう。

「こんなのも似合いますよ」と言ってあげたり、お荷物を持って自宅まで送ってあげるんだ。


もし、あのマダムが一人暮らしだったら、どうしよう。
とても悲しい。ご主人もしくは子供たちと暮らしていてくれるといいな。

私は困っている人がいたら、それを知りたいし何とかしたい。

ただのエゴかもしれないけど。
軽い気持ちで言えることではないのかもしれないけど。

でも、ご老人を見るたびに、そう思う。