『初恋』@渋谷GAGA!




映画好きな人と、会社帰りに行ってきた。

劇場である渋谷GAGA!は、完成してから初めて行く劇場だったので
これも楽しみ。

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それにしても…『初恋』のポスターは、うまい。


三億円事件の犯人は18歳の女子高生だった」という文字と、
白黒(でなければならない)の宮崎あおい

そこに映し出されるのは、
NANA」のおきゃんな少女でも、そのほかの映像に残る「あどけない」
「透明感のある」宮崎あおいではない。



少し乱れ、泣いたあとのような表情。
それは捕らえられたときの証拠写真にも見える。



このポスターだけで「観てみたい」と思う人は多いだろう。

今回このプロモーションのうまさを実感。
(その「うまさ」が、「期待と満足のズレ」の原因にもなっているのだけど)


以下、ネタバレありなので、知りたくない人はご注意をば。




終わったあと、「う〜〜〜ん…」。

一緒に行っていた人は私よりもっと悶々としたらしく、2人で語ってしまった。


なんだかスッキリしない。


たぶん、題名「初恋」が示すようにその視点で深く観れば、
もう少し違った感想をもったかもしれない。


でもこの話は「三億円強盗事件」が絡んでいるのだから、
「三億円」と「初恋」の2本柱であるべきではなかったのだろうか。

確かに演出としてはそれを意識したのは分かる。
分かるんだ…けど、「仕掛け」が弱いんだよなぁ…


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私は女だし、もっとみすず(宮崎あおい)の岸(小出恵介)への
気持ちに共感し、そのピュアさに感動し、最後はボロボロ泣いているはずだった。




けれども、最終的に泣いてしまったのは、
みすずが実は岸に想われていたと分かり、彼女が詩集を抱きしめる場面。
(ここは音楽が大げさすぎたけど)



しかし、それ以上の感情移入はなかった…残念だったなぁ…。







同行者と「この映画には何が足りなかったのか」ということを
話していたのだけど、結局まとまらなかった。




ただ

「あれだけの素材が揃っていたのにも関わらず、完成形(映画)としては、薄い」

ということでは、一致。




すごく褒め称えておられる人も多いので気が引けるのですが……。




【◎(良かった)】


宮崎あおいの、少女っぽさ。微妙な表情の変化。
小出恵介(「パッチギ!」のときから気になってたんだよなぁ)の、「東大生」っぽさ。
・小出くんのタバコの出し方、慣れていてナイス。
・小峯麗奈の大胆さ(胸)、「きれいになったなー」という驚き。
宮崎あおいの兄(名前忘れた)の、品のある退廃。
・60年代の街づくり(美術さんすばらしい!)
・60年代の街づくりについては、東京にはないので、北九州で撮られたということ。
・JAZZ喫茶「B」へ続く階段の薄暗さ。
・警官、みすずの母親、親戚のおじさんおばさんらの顔を、(あえて)写さないところ。
宮崎あおいのバイクの乗りっぷり(この映画のために16歳で免許取ったらしいですね)
・タバコの数々(hi-liteなど)
・60年代ファッション(むかし古着で好きだったな〜)
・岸(小出)がみすず(宮崎)を車に乗せて、犯行の予習をする場面(時計の音が胸を高鳴らせた)
・犯行が終わり、合流した2人。みすずの頭を軽くなでる岸…このときの、みすずの儚い笑顔が絶品。
 (ここは、キュ〜〜ンとくる!)
・犯行の手口(警官になりすまし爆弾がしかけてあると脅かし、全員を車から離れさせる、など)はおもしろい。



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【△(う〜ん…)】


・セリフが聞き取れないことが多々あった(リョウが死んだときに泣いていた男性など)
・「B」に集う仲間の背景や、絆が分かる描写がされていないので、映画の最終部で彼らのその後を聞いても胸にクルものがない。
自転車屋のおじさん(藤村)と事件の関り・動機が全く描かれていない、という謎。
・みすずが本物の警官ではないとバレることを予想しなかったのだろうか(背格好が小さすぎる、女の声で「爆弾が仕掛けられています」と言うことetc…)
・みすずの岸への想いが高まっていくそのきっかけとか過程が描かれていない。これは最後まで響いた
(「初恋」の切なさが伝わりづらい)
・岸が三億円強奪を計画した意図・そこまでさせたエネルギーが中途半端で、伝わってこない
(「権力がいやだ」「権力より頭脳で勝負したい」とは言ったけれど、「それで?」と思ってしまう。
 そのために、好きなみすずを危険な目に遭わせるのだろうか)




色んな人のレビューや感想を読んで、おもしろかったな〜。
色んな観点があるんだな、って思って。



もう一度見てみてもいいかも。