ショコラ★DAY







バレンタインデーですね。


中高生の男子の心情などを想像してみたり。






「下駄箱に入っているかも…?」
→(なかった)


→「さては机の中か!?」→(なかった)


→「そうか…放課後に渡すっていう寸法だな(←助さん角さん風)」

→待てども待てどもそんな女子の気配はナイ…




「もう、帰ろう……」


がっくり肩を落としながら、小石を蹴りながら夕日を浴びる僕。
若い僕。
つまらん僕。


でもまだ希望は捨ててなぞおらぬ。


帰り道、どこかの角で女子が待っているかもしれない。

そうきっと彼女は恥ずかしくって学校では渡せなかったんだ。
僕の帰り道を調べスタンバイ。 手にはちょこれいと♪


「さぁ……どこだ…いつでもかかってこい」


僕は全身に緊張を走らせ今どこから斬りかかられても受け交わす自信だってあるのさ。


「さあ!かかってこい!…かかってくるんだ!」眼光するどい僕。手のひらには汗。頭の中は妄想でピンク色。




あれ。いつの間にか家に着いた。


「そうか、夜に呼び出すっていう手でくるか…」


僕は何事もなかったように家に入る。

母は「おかえりー」と言ったあと
僕が何も持ってないのを確認してから少しニヤっとしてこう言った。


「イイコト、なかった?」





・・・・母よ・・・・・・・




母よ・・・触れないでくれ。



そもそも(開き直る)
今日が何の日でもいいではないか。


まぁいい、こんな日などお菓子業界があおっている
見せ掛けだけの「行事」に他ならない。

僕は全く動揺なぞしてはおらん。


証拠にこんなに堂々と帰宅したではないか。



「別に」




と、返事にもならない言葉を返して2階に上がる。

制服を脱ぐと汗のにおいと学校の埃のにおいが鼻をついて、

なぜだか下駄箱が浮かんだ。いやいやいや、





ーー結局、夜になっても僕に用事があると言って訪ねてきた輩は誰もいなかった。



母が、「ま、せめて1個くらいはね☆」と言って
無駄にラブリーにラッピングされたブタのい形をした
チョコレートを部屋に届けに来た。




いや、僕は落ち込んでなんかいない。




明日になれば普通の日さ。